SAP 2027年問題とは? クラウドERPにも影響?

SAP 2027年問題とは? クラウドERPにも影響? クラウドERP
SAP 2027年問題とは? クラウドERPにも影響?

現在、多くのSAPユーザーが2027年問題(SAP ERP 6.0のサポートが2027年に終了すること)に直面しています。今回は、2027年問題の概要と、それに向けてユーザーがすべきことをご紹介します。

SAP 2027年問題とは

SAP 2027の問題は、SAP ERP 6.0の保守が2027年末に切れることです。これはもともと2025年に終了する予定でしたが、2020年2月にドイツSAP社が2027年まで延長しました。その結果、以前は「SAP 2025年問題」と呼ばれていたものが、「SAP 2027年問題」となっています。なお、メンテナンスの期限は、2%の追加料金を支払うことで、2030年まで延長することができます。また、2025年には、日本では「2025年の崖」と呼ばれるITリソース不足が発生ことも確実視されています。

SAP ERP 6.0の保守サポート終了は、国内外を問わず多くの企業に大きな影響を及ぼしています。ユーザーは、サポートなしで製品を使い続けるか、SAP S/4 HANAに移行するか、他社のERPに乗り換えるか、いずれかの選択を迫られているのです。

SAPとは?

SAPは、ドイツの多国籍ソフトウェア企業であるSAP SEが製造する企業資源計画ソフトウェア製品です。SAP ERPは1973年に初めて開発され、ERPソフトウェアとしては最も歴史と実績のある製品の一つです。使い勝手の良いシステムとして、日本を含む世界中の多くの企業で採用されています。

SAP S/4HANA

ちなみに、SAP S/4 HANAは、今や時代遅れとなったSAP ERPの後継として開発された、SAP社の次世代クラウドERP製品です。データ処理速度の高速化により、すでに多くの企業がS/4 HANAの導入を開始しています。

2025年から2027年に延長された理由

SAPがSAP S/4 HANAへの移行を推奨しているにもかかわらず、SAP ERP 56.0のメンテナンス延長がなぜ必要になってしまったかを説明します。

SAP技術者がいない

まず、「2025年の崖」で述べたように、人材不足でSAP移行プロジェクトの立ち上げが困難になることがわかりました。

SAP ERP 6.0は大企業を中心に導入されたため、グループ全体のITインフラとして利用している企業も少なくありません。この5年間でSAP S4 HANAへの移行案件が集中したことで、SAP移行作業を行うSEの不足がかなり深刻化しています。

また、ユーザー企業では、導入プロジェクトに参加した人材がすでに退職しており、大規模なプロジェクトに対応できるスキルが不足していることも要因の一つです。

「SAP S4 HANA」移行が難しい

SAP S4 HANAへの移行が困難な理由としては2つあります。まず、SAP S4 HANAの仕様がSAP ERP 6.0から大きく変わり、専用のデータベースであるHANAとLinux OSを使用し、アプリケーションを実行する専用のインフラを構築するようになったことです。そのため、さらなるアドオン/カスタマイズが必要となり、今後もコストアップが懸念されます。次に、HANA専用のシステムを構築するためには、SAP S4 HANAの知識と経験を持つSEが必要ですが、先述の通り人材が全く足りていないことが指摘されています。これらの理由から、SAP ERP 6.0からの移行が困難となり、再び保守期間の延長に至ったと言われています。

現在、SAP ERP 6.0 を利用しているユーザーは?

次のシステムプランのために、いくつかの選択肢が考えられます。

1.SAP ERPの最新版である「SAP S4 HANA」への移行です。
最新のSAP技術を適用することで、無駄な業務の排除や新規業務のシステム化を実現し、システムのレスポンスタイムを加速させることができます。しかしシステムの全面的な再構築が必要ない場合でも、新たなビジネス要件の取り込みを確認し、システムを再構築する必要があり、社内にシステム担当者がいない場合は、社外から調達する必要がある場合もあります。

2.別のERPシステムへの移行
システムを一から作り直すことができるため、最新のIoT技術を利用することができます。
しかし、ゼロからの再構築はコストと時間がかかり、マスターデータや過去データの移行が大規模で大変です。

3.現状のまま使い続ける
メンテナンス期間が終了するまでは、システムをそのまま使用することができます。その後、次のシステムの準備に時間を割くことができます。しかし新しいビジネスニーズに対応できないことが、システムの成功の妨げになっています。

まとめ

SAPにとって、最初の製品であるR/3がリリースされてから、すでに25年以上が経過しています。過去に駆逐された「レガシーシステム」と呼ばれる立場になっています。システムもオペレーションも、外部環境とともに変化していかなければ生き残ることは難しいでしょう。

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